1月21日(水)、高校1年生を対象に、情報科学講演会を実施しました。大阪工業大学知的財産学部より五丁龍志教授にお越しいただき、『日常生活における「知的財産」とは』をテーマにご講演いただきました。
例えば、今使っているペンケースを選んだ理由はなんでしょうか。生徒からは、「機能性があるから」「デザインが良いから」「丈夫だから」「このメーカーだから」など、様々な意見が出ました。そういった、商品が選ばれるときの値段以外の指標を『知的財産』と呼びます。マーケティングにおいては、差別化要素とも呼ばれたりします。そういったものは全て、『知的財産権』によって守られています。では、守られていなければどうなってしまうのでしょうか。有名なキャラクターを模倣し勝手に商品に表示して売られてしまうかもしれません。書いているうちに芯が尖るシャープペンも、その技術をそのまま使って販売されてしまうでしょう。そうなってしまうと、価格の安い方が売れてしまうため、価格競争が異常に激しくなり、価格がどんどん安くなってしまいます。すると、メーカーの売上が下がり、新商品の開発費も下がってしまい、メーカーで働く人の給料も下がり、結果的に豊かではない世界になってしまいます。一方、知的財産権が機能していると、技術やデザイン・意匠などを権利を持っている会社が独占でき、そこに価値を見出せる消費者は少し高くてもそちらを選びます。権利を持っている会社や人だけが知的財産を使えるようになり、価格競争に頼らなくなります。その結果、便利な物やデザインの良い物が生まれ続ける社会になります。つまり知的財産権は、権利を持っている会社などが独占できるという手段で「世の中を豊かにする仕組み」なのです。
知的財産である特許を発明するのは難しそうです。ではエジソンは何故、生涯で1300もの発明ができたのでしょうか。発明は3つのグループに分けることができます。ひとつは亀の子たわし型。元々たわしは棒状の針金に繊維を束ねたもので細長かったため、少し使いづらいものでした。そこで、力の弱い人でも簡単に使えるように、たわしの先端同士を結んだものが生まれました。それが亀の子たわしです。つまり、既にあった商品を『改良』したものです。2つ目はウェットティッシュ型です。机に裏移りしてしまったインクを落とそうとすると、乾いたティッシュでは難しく、水に濡らすことになります。しかしティッシュは濡らすと溶けてしまうため、不織布を使うことにしました。つまり『改良したものをもう一度改良』したものです。3つ目はサイクロン掃除機型です。元々は港で粉末の製品を仕分けするために使われていたとても大きな仕組みを、小さな掃除機に転用したものです。遠心力によってゴミをまとめるためには、大きな港で使われていたモーターよりもずっと力が必要でした。つまり『転用したものを改良』したものになります。このように分類分けすると、全ての発明は『改良』から生まれていることがわかります。そう考えると、なんだか誰にでもできることのように思えてきたはずです。
また、発明にはコツがあります。例えば靴を発明しようと思ったら、ただ新しい靴を思いつこうとするより、『疲れにくく』『動きやすい』など、条件を絞って考える方が考えやすいです。そして、今まで学んできた技術を応用することでさらに発明しやすくなります。
知的財産に関する感覚を磨き、また知的財産を生み出す体験も行っていただき、生徒たちにとって大変価値のある経験になりました。五丁龍志教授、この度は本当にありがとうございました。