6月1日(月)、SSH活動の一環として、高校1年生を対象に統合科学講演会を実施しました。全4回の統合科学シリーズの第3回として行われた今回の講演会では、御所市観光協会から三井秀樹様をお招きして、『「御所市の観光資源の概要と関学民連携の取組」~御所まち活性化の経緯~』をテーマにご講演いただきました。御所市の観光資源や歴史、また街づくりのモデルケースとしての御所まちについて知ることで、今後日本で必要になってくる地方創生にも繋がるお話を聞くことができました。三井様には中学1年生の御所まちフィールドワークやその事前学習でもお世話になっておりますが、この学年はフィールドワークができていませんでしたので、御所まちをよく知る機会としてもとても良い時間になりました。
この度お越しいただきました三井秀樹様、本当にありがとうございました。
御所市は、60数年前に町村合併によって奈良県で8番目の市として生まれました。その頃、35,600人弱だった人口は少しずつ伸びていき、私(三井様)が小学4年生くらいの時に約37,500人に到達しました。ところが2017年にはそれまでの40年間で28.5%もの人口減少を受け、国から過疎地域に指定されました。その後も減り続け、今年3月末時点で22,500人、世帯数も1,200を切っています。16歳から64歳までの人口を生産年齢人口と言いますが、人口ピラミッドを見るとそれもどんどん細くなっています。50年前、御所市で生まれる子どもは500人くらい居ましたが、去年はたった69人でした。
ですが観光地としての御所市は、時代の流れとともに人気が高まっています。例えば、青翔の近くにある鴨津波神社は紀元前60年に創建されています。そのような昔から残っているものが御所市には沢山あります。最近、外国人観光客の方々にとって大阪や京都の観光は飽きられつつあるようです。『作り上げられた観光』ではなく、『自然なまま残っているもの』の人気が出てきているそうです。そのため御所市も海外から観光に来られるお客様が増えています。
そして御所市は周り4つの自治体の全てよりも沢山の観光資源を保有しています。例えば、葛城山は山頂まで登ると明石海峡大橋まで綺麗に見える景色があり、葛城一言主神社は映画のロケ地にもなり、また様々な芸能人の方も参拝に来られる有名な神社です。その他にも天孫降臨伝説の残る高天彦神社があったり、お年玉の由来となった葛城御歳神社もあります。さらに、神武天皇が即位した神武天皇社もありますが、実は明治政府はこの神武天皇社を宮跡として指定し、橿原神宮を整備しようとしていたとも言われています。
観光資源が豊富な御所ですが、街づくりは遅れていました。御所市が誕生してすぐ慢性的な赤字財政に陥り、2008年には1740ある市区町村のうち、3番目に赤字のひどい状態で、街づくりどころではありませんでした。職員の給料や市民の様々な活動に対する補助金などを削減することで、2011年には41年ぶりに黒字に復帰しました。その頃経済学部に通う御所市出身の大学生の方が街づくり担当として来てくれて、「御所市はもう、やっぱりこのまま終わっていく自治体なんですね」とものすごく寂しそうに相談してくれたんです。それがきっかけになって御所が大きく変わっていきます。
その大学生さんが私との話を研究室の先生にしたところ、日本の人口減少により15年、20年後に大きな問題となることに今まさに直面しているのが御所市という自治体だ、だからこの大学生にとってすごくいい教材になると判断されて、大学と御所市で協定を結ぶことになりました。色々なことを学生に挑戦させ、その結果を行政に活かす約束です。
大学生たちと力を合わせて行った大きな施策はJR御所駅についてでした。2017年にJRから御所駅の駅舎を取り壊し、簡単なホームにしてもいいですかとお話がありました。ですが、これから街づくりをしていく中で駅舎はとても大切だと思い、潰してしまうくらいならということで御所市で管理することになりました。さてどのように使っていこうという話を大学生たちとしている中、ある大学生の方が「この駅を毎日、一番使っているのは誰ですか?」と聞きました。それで、青翔中学校・高等学校の生徒が一番多いだろうなという話になり、「御所駅の駅舎がどんな風になったら嬉しいですか」といった内容の自作のアンケートを青翔生全員から取ってくださいました。普段使い用のコンセントやWi-Fi、自習できる机や椅子など、沢山の意見が出ました。市役所では反対もありましたが、なんとか説得して改修工事を行い、JR御所駅『まちかど案内所』として生まれ変わりました。
私が取り組んだ大きなこととして、『GOSE SENTO HOTEL』プロジェクトがあります。小さい頃、沢山の人で賑わう銭湯で近所の人と話をするのがとても楽しく好きでした。大人になっていざ街づくりをしようと思ったとき、御所に7軒もあった銭湯が全てなくなってしまっていました。これではダメだ、銭湯が必要だと思っていたとき、設備そのままに廃業した『宝湯』の所有者が、街づくりをするならこの銭湯を譲りますと言ってくれました。一般社団法人『NOTE』の助けもあり、復活した宝湯を中心とし街全体をホテルとする『GOSE SENTO HOTEL』プロジェクトが動き出しました。まず銭湯で湯を沸かすための薪として御所の半分を占める森林を利用することで、遅れていた間伐にも手を付けることができ、林業の雇用も生まれました。そして宿泊施設や洋食屋として、元々は別のお店として営業していた古民家が活用されました。街づくりをがんばっているからということで銭湯の近くの土地を所有者さんから譲り受け、御所まちセンターという地域拠点を作りました。また、御所中心市街地地区街なみ環境整備事業計画によって、街なみに合わせて道路を美装化したり、ポケットパークの整備なども行っています。これからも古民家の空き家を活用したお店はドンドン増えていき、ますます活性化していきます。
結果的に、地域の皆様だけではなく少し遠方のお客さんも宝湯のファンになったり、葛城山を目当てに来た登山客、また外国人観光客の方々にも沢山お越しいただき、大変賑わいを見せています。ただそんな中、それでも空き家は増えて行っていますし、人が増えるにつれてゴミも増えてしまい、ご近所さんにも迷惑がかかってしまっています。こういった問題についても解決するために考えながら、これからもこの御所まちが元気になっていくよう頑張っていきます。皆さんもこんなことをしたらいいのでは、といった意見があれば、ドンドン私に言ってくださいね。